特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは

概要

出血を止める役割を持つ「血小板」が減少する病気です。

血小板が減少することは、

出血がしやすい・出血が止まりにくくなることで

具体的には、痣が出来やすかったり、鼻血が止まりにくかったりします。

血小板減少が重篤になると、

内臓や脳で出血する可能性があり、命にかかわる病気にもなり得ます。

重篤な血小板減少を引き起こさないために

定期的な検査と、適切な治療で血小板数の維持を図ります。

この病気は厚生労働省で難病(「特定疾患」)指定されている

申請すれば、医療費控除・助成を受けることができます。

原因

何かしらの原因で「抗血小板自己抗体」が生産され、

それによって以下の2つを引き起こし、血小板が減少されます。

①血小板減少

この血小板抗体と血小板が結合し、

脾臓などに取り込まれマクロファージに貪食・破壊されます。

②血小板生産の低下

この血小板抗体が、骨髄での血小板生産を障害し血小板生産を低下させます。

検査・診断

血液検査・骨髄検査・ピロリ菌検査を実施します。

どんなことを調べるか、それぞれの検査内容は次の通り。

①血液検査

血小板抗体の有無について

②骨髄検査

骨髄が正常に機能しているか、血小板をつくる「巨核球」に異常がないか

③ピロリ菌検査

ヘリコバクター・ピロリという細菌に感染していないか

(ピロリ菌感染により血小板減少を引き起こすこともあります)

治療(治療の目標と治療の種類)

【治療の目標】

この病気は、完全に治すことが目標ではありません。

自分自身に見合った治療を見つけ、重篤な出血を避けることが目標です。

【治療の種類】

 ピロリ菌除菌

 検査により、ヘリコバクター・ピロリに感染していた場合は除菌を行います。

 免疫グロブリン療法

 重篤な出血時や出産時・手術前などの緊急用

 血小板を破壊する細胞の働きを抑えるとともに、血小板抗体の働きを抑えることで血小板を増やします。

 ただし、効果は一過性のため、重篤な出血時や出産時などで使用し、これを使用している間に他の治療を併用させます。

 免疫抑制療法

 ITPと診断されたら、まず始める治療(最も効果が出やすい)

 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)を服用します。

 免疫を抑制することで、血小板抗体の生産を抑制します。

 ステロイドを大量に服用する場合は、あらゆる感染症に注意しながら治療を行います。

 脾臓摘出療法

 ステロイドが無効な場合、またはその他の内服薬で血小板維持のコントロールが難しい場合

 血小板抗体と結合した血小板は、主に脾臓で破壊されます。

 破壊される場所をなくすため、脾臓摘出手術を行います。

 開腹手術よりも比較的に患者の負担が軽い、腹腔鏡手術で行われることが多いです。

 トロンボポエチン受容体作動薬

 他の治療(ステロイド、脾臓摘出)で十分な効果が得られない場合①

 錠剤と皮下注射の2種類があります。

 血小板を作る巨核球を増やす因子「トロンボポエチン」と同じ作用により、血小板の生産を促進します。

 胎児への影響が考えられることから、妊娠中には使用できません。

 リツキシマブ療法

 他の治療(ステロイド、脾臓摘出)で十分な効果が得られない場合②

 血小板抗体はBリンパ球という細胞で生産されます。

 リツキシマブはBリンパ球を破壊することで血小板抗体の生産を低下させる効果があります。

日常生活での注意点

血小板数値が低いときは激しいスポーツは避けましょう。

服用している薬はきちんと管理し、別の薬を処方された場合は

飲み合わせ・血小板減少の副作用がないか、医師に確認しましょう。

最後に

この病気は難病のため、病気の存在を知っている人は多くありません。

 

病気になったら、自分で自分の病気のことを説明しなければならない時が来ます。

その時のために、まず自分がITPのことをきちんと理解しておきましょう。

 

病気や治療に対して、相手にきちんと説明が出来ていないと

その相手は、悪意なくあなたを傷つけてしまうことがあります。

相手が自分にとって大切な人だったら、なおさらです。

 

そうならないために

病気をよく知り、自分に合う治療を見つけることを諦めないでください。

 

病気と向き合い、治療を続けるあなたは

病気を診断されてから、ずっと頑張ってきました。

全く効果が出なかった治療も、

効果はあったけど自分が我慢しなければいけない治療も

辛い思いをしたことは、今までたくさんあったと思います。

 

それでも諦めないでください。

きっといつか救われるはずです。

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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは” に 2 件のコメント

  1. 改めてご説明ありがとうございます。
    お陰様で自分の病気を正しく見つめ直すことが出来ました。
    最近産婦人科を受診しましたら
    妊娠出産は危険で、産まれたあとも病気と付き合いながら子供を育てられるか、きちんと考えた方がいいと言われました。

    産めないことは無いんでしょうけど、リスクが大きく、旦那含め親族の未来を左右する決断をしなければいけないというプレッシャーに押し潰されそうです。

    それに、この病気を正しく理解していない人の悪意ない言葉が胸に刺さりずっと抜けません。
    この投稿を見て、お互いの為にも自分の病気の事を説明する時は正しく理解してもらわないといけないと強く再認識出来たと思います。

    そして、「痣」が「痔」に見えてしまった私は目が腐っている。

    1. @えつおさん
      コメントありがとうございます。
      >妊娠出産は危険で、産まれたあとも病気と付き合いながら子供を育てられるか、きちんと考えた方がいいと言われました。
      きついですね。。その産婦人科の先生はITPについてどこまで知っている先生なんですかね。
      私の血液内科の先生は、その時の状況次第(数値・服用している薬など)なんじゃない?って
      軽く言ってましたけどね。(逆に妊娠・出産の知識がそこまでないと思うので・・)

      >産めないことは無いんでしょうけど、リスクが大きく、
      >旦那含め親族の未来を左右する決断をしなければいけないというプレッシャーに押し潰されそうです。
      分かります。結婚、妊娠、出産は自分ひとりのことじゃないですからね。
      でも、えつおさんはきっと周りの方を笑顔にできる人だと思うので(私がいつも元気になります)
      それだけであんまり自分を責めないでくださいね。
      辛い選択肢を選ばないように、一緒にITPについて色々知れたらいいですね。
      私もたくさん勉強します!

      >そして、「痣」が「痔」に見えてしまった私は目が腐っている。
      私が書き間違えてたかと思って一瞬焦りましたw

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